今回は、交通事故で行政書士がサポートできること、反対にできないことについてご説明致します。
この点はグレーゾーンなところもあり、微妙なテーマですので、あくまで私個人の見解という形でとらえていただければと思います。
行政書士がサポートできること
行政書士の仕事は、「権利義務に関する書類」「事実証明に関する書類」を作成することです。
たとえば、交通事故の加害者と被害者が交渉を行って、示談をした場合に、その示談内容を「示談書」として作成することは、「権利義務に関する書類」の作成として、当然、行政書士として行うことができます。
また、自賠責の被害者請求では、交通事故の事故状況を説明する図を作成することが必要ですが、被害者の方から事故状況を聞き取り、実際に事故現場を見に行くなどした上で、この図を作成することは、「事実証明に関する書類」の作成ですから、当然、行政書士ができます。
行政書士がサポートできないこと
他方、行政書士として絶対できないことは、被害者又は加害者の代理人になるこです。
代理人になるというのは、簡単にいえば、被害者・加害者の「代わり」になるということです。
なぜできないかというと、紛争当事者の代理人には弁護士しかなれない、という法律があるからです(これに違反することを「非弁行為」といいます。)。
たとえば、被害者から依頼を受けて、被害者の代わりに、加害者と示談交渉をすること、これは弁護士にしかできない代理行為ですから、行政書士が行うことはできません。
グレーゾーン
さて、ここからが微妙なところで、自賠責の保険金請求やそのための書類作成を行政書士がサポートできるか、という問題があります。
私見ではありますが、まず、自賠責の保険金請求を「代理して」行うことはできないと考えております。上述した非弁行為にあたると考えられるからです。
他方、単に、自賠請求のために必要な書類を集め、被害者の方の代わりに、被害者請求の書類を整えること(請求は被害者本人が行います)、これは「事実証明に関する書類の作成」ということで、行政書士が行っても問題ないと考えております。
微妙なのは、自賠責請求の必要書類の取得にあたって、自賠責請求のために必ずしも必要がない定型書式以外の書類を集めたり、そういった書類の取得についてアドバイスすることの是非です。
これもダメだという方ももちろんおりますが、私としては、基本的には、依頼する方の自己責任 だと考えております。
ダメだという意見の根拠としては、高度な専門的な知識を持つ弁護士が関与しなかったことにより、たとえば本来であれば後遺障害等級が認定されるべき事案について認定されなかったりする危険があるということだと思いますが、行政書士よりも弁護士の方が詳しいということが一般的にも妥当するかは疑問です。
確かに、中には性質の良くない行政書士さんもいるかもしれませんが、それはそういった行政書士さんを選択した方の自己責任ではないか、と思うのです。
まとめ
いかがだったでしょうか。
最後は少し冷たい表現になってしまったかもしれません。
交通事故において行政書士がサポートできることは多々あります。
ただ、グレーゾーンもあることは念頭に置いていただき、信頼できる方を選択されるのが良いように思います。
以上