後遺障害申請は被害者請求・事前認定どちらを選ぶべき?(1)被害者請求のメリット・デメリット

自賠責保険における後遺障害申請には、被害者請求と事前認定という2つの方法があります。

今回は、後遺障害申請にあたって、被害者請求と事前認定どちらを選ぶべきか、それぞれのメリット・デメリットなどについてご説明致します。

被害者請求と事前認定の違い

被害者請求とは、交通事故の被害者本人が、自賠責保険会社に直接、後遺障害の申請をし、保険金の請求をすることをいいます。

これに対して、事前認定とは、加害者側の保険会社が、自賠責(正確には損害賠償率算定機構)に対し、後遺障害等級の確認を行うことをいいます。

なぜ加害者側の保険会社が後遺障害等級の確認をするかというと、加害者側の保険会社は、被害者に対して損害賠償金を支払った後、自賠責保険会社から支払った保険金の全部または一部の回収作業を行います。

これを「自賠回収」と呼んだりしますが、たとえば、加害者側の保険会社が独自に被害者について後遺障害14級が認定されることを前提に損害賠償金の支払いを行っても、後で、自賠責保険会社が後遺障害を否定した場合には、後遺障害14級を前提とする自賠責保険金の支払がされず、大部分の「自賠回収」ができなくなってしまいます。

こうなると、加害者側の保険会社としては「損」になるため、被害者に対して損害賠償金の支払を行う前に、自賠責に対して後遺障害等級の確認を行うことが通常で、これを「事前認定」といいます。

被害者請求のメリット・デメリット

メリット

被害者請求のメリットは、自分自身で資料を集め、後遺障害の申請ができる点です。

自賠責保険金の請求にあたって、必ず必要な資料は決まっていますが、それ以外の資料の提出が禁止されているわけではありません

そのため、被害者請求をする場合には、必要資料の他、自分自身に有利な様々な資料(診療経過に関するカルテや、後遺障害診断書より詳細な医師の意見書等)も提出することができます

このように、自分自身にとって有利な様々な資料を提出することができ、後遺障害が認定される可能性を高められる点が、被害者請求の何よりのメリットです。

また、結果として、仮に非該当になったとしても、自分自身で提出した資料によって判断されたわけですから、納得感も得られます。

デメリット

これは、端的に「大変」ということです。

自賠責保険金の請求には、必要な書類が決められていると書きましたが、実は、これを集めるだけでも相当大変です。

ましてや、診療経過に関するカルテの取り寄せを行ったり、医師の意見書作成をお願いしたりといったことは、なかなか、日常生活をしながらできるものはありません。

こういう大変さが、被害者請求のデメリットとしてあります。

 

少し長くなってしまったので、事前認定のメリット・デメリットについては(2)でご紹介いたします。

以上