弁護士費用特約の補償が重複した場合には、保険料も重複しているためその分無駄に保険料を負担していることになります。
それでは補償が重複することにはデメリットしかないのでしょうか。
死亡事故や重傷事故の場合には弁護士費用特約の補償が重複することにはメリットもありますので説明していきます。
重複により補償限度額が上がる
弁護士費用特約の補償が重複すると、その重複した部分について保険料がそれぞれ発生します。そこで、保険適用の場合に保険金が二重に貰えるわけではないので重複部分の保険料は無駄だということになります。
しかし、補償が重複している場合には補償限度額が増える場合があります。
弁護士費用特約による補償限度額とはどのようなものでしょうか。
一般的な補償限度額は、被保険者1名につき、弁護士への法律相談費用は10万円、弁護士への着手金および報酬については300万円です。最大1700万円までの損害賠償金の請求に関する事案については弁護士費用を補償してもらえることになります。
それでは、損害賠償金の請求が1700万円を超える請求をするケースについてはどうでしょうか。
例えば、交通事故で被害者が死亡した場合や、後遺障害等級が11級を超えるような後遺障害が残る場合など重篤な結果が生じたケースには損害賠償金として相手方に1700万円以上の金銭を請求することが容易に想定できます。
このような弁護士費用特約の補償限度額を超過するような場合には、弁護士費用特約の補償が重複していれば2つの保険により最大600万円までの弁護士費用が補償されることになります。
これはどういうことかというと、約3900万円までの損害賠償請求に関する弁護士費用が保険会社により負担されることになります。
つまり、弁護士というプロに依頼することによって事故の相手方から取り戻す金銭が増額できたとしても弁護士に依頼する費用に自己負担額があると、結局十分な補償を受けたことにはなりません。
そこで弁護士に依頼した場合の費用の手出し負担を軽減させることができるというメリットがあります。
もっとも、交通事故事件の場合に弁護士費用が300万円を超過するような事例は多くはありません。したがってそのような稀有なケースを想定して弁護士費用特約の保険による補償を重複させておくというメリットはそれほど大きいものとはいえないでしょう。
ただし、リスクは小さいといえども、もし万が一重大事故に遭遇した場合には、被害者本人だけではなく、配偶者や同居の親族の保険契約の内容なども確認してみましょう。
弁護士費用特約が重複している補償が存在している可能性があります。
弁護士費用特約による弁護士費用の補償についてまとめておくと以下のようになります。
通常の交通事故の場合には、補償の重複がない場合もある場合でも弁護士費用については300万円を超えるようなケースは少ないですので全額補償される可能性が高いです。
そして、死亡や後遺障害等級が11級以上のような重大な結果を招来した交通事故の場合には、補償の重複がない場合には弁護士費用について300万円を超える部分については自己負担となります。
他方、このようなケースで補償の重複がある場合には600万円までの弁護士費用が補償されます。
別個の親族や友人も補償対象となる
別居の親族や友人・知人が自動車に搭乗していた場合に弁護士費用特約が付されている方の自動車に乗っていた場合には保険の補償対象となります。
例えば、1台目の自動車には弁護士費用特約を付していて、2台目の自動車には付けなかったとします。
本人と同居の家族は、1台目、2台目のどちらの自動車に搭乗していても1人ずつ弁護士費用特約を利用することができますが、それ以外の第三者が2台目に搭乗していた場合に交通事故に遭ったとしても弁護士費用特約を利用することができません。
しかし、2台目の自動車についても弁護士費用特約を付していた場合ではどうでしょうか。
この場合に本人と同居の親族以外の第三者が2台目に搭乗中に交通事故にあったとしても弁護士費用特約を適用することができます。
つまり、別居の親族や友人が自動車に乗る場合には1台目および2台目それぞれに弁護士費用特約を付しておくことでいざという交通事故であっても弁護士費用を補償してもらえるというメリットがあるといえます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は弁護士特約を重複させるメリットについて解説しました。
まずはご自身の保険契約の内容について確認してみましょう。
交通事故に遭った場合に弁護士費用特約を利用できる場合には弁護士費用を補償してくれますのでまずは弁護士に相談することをお薦めします。
以上