コロナ禍が治まり、日本に来る外国人の数が増えてきました。就労、観光、どちらで日本に来る場合であっても、楽しく過ごしてほしいと思いますが、時には交通事故に巻き込まれるかもしれません。
今回は外国人が日本で交通事故に巻き込まれてしまった場合、どのように扱われるか書いていきたいと思います。
原則として日本の法律が適用される
外国人が日本で交通事故に遭った場合、日本の法律が適用されます。日本の民法に書かれている賠償規定や、自賠責法は外国人の被害者にも適用されます。加えて在留資格がどのようなものかも考慮される場合があります。
例えば、損害賠償の対象期間が日本への滞在見込期間を超えるような場合などが、これに該当します。なお損害賠償については、本国での生活水準も考慮される可能性があります。
損害賠償に含まれるもの
日本人の場合と同様に、外国人にもしかるべき損害賠償がされます。しかし外国人の場合、日本人にはない下記の費用も含まれます。
- 本国で治療した治療費
- 治療のための渡航費用
- 死亡した場合、遺族の渡航費用
治療のため本国に帰国した場合、本国での治療にかかった治療費や渡航費用も、損害賠償の対象になります。
休業損害や逸失利益は在留資格による
日本人の配偶者、永住者など
日本人の配偶者、永住者の方は、日本にずっと滞在するものと想定されています。そのため日本で働いている場合、日本人とほぼ同じ基準が適用されます。
就労可能かつある程度長期の滞在が予定される場合
就労可能な在留資格があり、なおかつある程度長期滞在が見込まれる外国人の場合には、日本で働いた収入額を考慮して計算されます。
損害賠償の対象期間が在留期間を超える場合には、更新後の期間も含まれる場合があります。
短期滞在などの場合
短期滞在は、多くの場合就労そのものができません。
すぐに本国に戻ることが想定されているため、本国における収入額をもとに計算されます。
相続は本国の法律を適用
外国人が事故のせいで死亡した場合には、例外です。相続に関しては、日本の法律は適用されず、亡くなった方の本国の法律が適用されることになりますので、ご注意ください。
行政書士からのお願い
今回は外国人が日本で交通事故に遭った場合にどうなるか、説明しました。行政書士として仕事をしていると、交通事故業務だけでなく、外国人の方や雇用主からのご相談を受けることもあります。中には在留資格の更新をぎりぎりまでしない方もいらっしゃいます。
ご事情があると思いますが、万が一の交通事故の際には、それらがマイナスに働く場合がありますので、在留資格の更新や変更は、速やかに余裕をもって行ってください。