「交通事故初期対応」カテゴリーアーカイブ

物損事故が再捜査!どんな時?何をするの?

交通事故の多くは物損事故と扱われ、刑事事件になることはさほど多くないと言われています。

しかし時には、最初はただの物損事故として処理されたはずなのに、その後人身事故になったり、刑事訴訟にまで発展してしまうことがあります。今回はそんなお話です。

 

再捜査が命じられる場合

さて交通事故の内容によっては、再捜査が命じられることがあります。被害者や関係者が強く再捜査を求め、それが認められた場合のほか、所轄の警察からの報告書を県警が見た結果、再捜査を命じて差し戻す事例もあるようです。

また、加害者の行動が悪質だと思う場合にも、物損事故として処理することが妥当とは言えず、再捜査になることもあります。

さて再捜査になる場合、「交通事故の件ですが、当初は物損事故として処理されていたが、再捜査の必要があるので、都合の良い時に警察署に来てください。」という連絡が警察署からきます。

電話で来ることも多いのですが、最近では警察を語った詐欺電話もあるので、本当に警察からの電話か、かけてきた人はだれか、必ず確認しましょう。

また留守番電話設定をして置き、要件、警察署名、担当者名、要件を吹き込んでもらい、警察署にこちらから電話をして本当か確かめる方法もあります。

警察署では何をするの?

さて警察署では、事故の状況などを再確認することから始まります。「また同じ話をしなくちゃいけないの?」と思うかもしれませんが、できるだけ正確に話すようにしましょう。

ドライブレコーダーに画像が残っていれば、その画像を使えるかもしれません。しかしドライブレコーダーの映像は、時間が経つと消えてしまうので、交通事故の映像はあらかじめ残しておかれるとよいと思います。

自分の記憶だけを頼りにする場合、できるだけ冷静に、小さなことでも話すようにします。さらに「加害者に対してどう思っているか」「加害者を罰してほしいと思うか」ということも聞かれます。

再捜査の目的は被害者救済だけではない

お叱りを受けるかもしれませんが、この再捜査の目的は被害者の救済だけではありません。「加害者にどんな罰を与えてやろうか」という材料とする目的もあるのです。

そのため、いろいろと話した割には自分の思うような結果にならないかもしれません。一人で対応するのは精神的にも大きなストレスになりますので、できることであれば、お早めに交通事故対応に詳しい弁護士へご相談されることをお勧めします。

 

 

交通事故は専門家へ相談しよう

交通事故は誰もが遭う可能性のあるものですが、人生において何度も経験するものでもありません。

そのため、交通事故に遭ってしまった際に、どのように対応するのがベストなのかという判断は普通の方には難しいといえるでしょう。

そこで、交通事故の対応については、専門家に相談することをおすすめします。ここでは、専門家に相談することのメリットや専門家を選ぶ際の注意点について解説していきます。

交通事故の専門家とは

交通事故の専門家としては、弁護士や行政書士が挙げられます。

弁護士は、保険会社との示談交渉など交通事故の手続き全般への対応を、行政書士は、後遺障害認定の申請書など交通事故にかかわる書類作成を専門としているところが多いでしょう。

専門家に相談するメリット

ここでは、交通事故の問題を専門家に相談するメリットを解説します。

交通事故解決までの流れを理解できる

交通事故に遭うのが初めての場合には、この後の手続きがどうなるのかわからずに不安という方も多いでしょう。

専門家に相談することで、事故解決までの流れを丁寧に説明してもらうことができ、この先どうなるのかわからないという不安を取り除くことができます。

手続きを有利に進めることができる

交通事故の内容について言い分が違う場合には、それぞれの話の内容から過失割合を決めることになります。

過失割合がどうなるかというのは、交通事故の手続き全般において影響を与える重大な事項です。

その交渉を専門家である弁護士に任せることで、自分の主張を上手く整理し、証拠に基づいた主張をすることができます

その結果として、過失割合の交渉が上手くいけば手続を有利に進めることができる可能性が高くなるでしょう。

賠償金の金額が増える可能性がある。

交通事故の被害者で通院が必要となった場合には、慰謝料の支払いを受けることができます。

この慰謝料については、弁護士が交渉することで裁判基準という基準での支払いを受けることができるようになります

慰謝料の支払い基準としては、保険会社による独自の基準と、裁判になった場合の基準(裁判基準)などがありますが、裁判基準の方が金額は高くなります。

そのため、弁護士が交渉することで、賠償金の金額が増える可能性があります。

専門家を選ぶ際の注意点

専門家を選ぶ際には、交通事故の解決実績が豊富な専門家を選ぶようにしましょう。弁護士や行政書士でも交通事故の取り扱い経験がほとんどないという方もいるので注意が必要です。

また、専門家に相談する際には、自身の保険に「弁護士特約」というものがあるのかに注意しましょう。弁護士特約があれば、弁護士や行政書士の相談についても自身での費用負担なく利用することができます。

交通事故の警察への届出について

交通事故が発生した場合には、警察に届け出なければなりません。これは、運転者としての義務ですので、届出は必ず行うようにしましょう(道路交通法72条1項)。

交通事故の届出には、「人身事故」の届出と「物損事故」の届出の2つの種類があります。

この点について、交通事故の加害者から「物損事故にして欲しい。」などと頼まれたという方もいらっしゃるでしょう。

そのときに相手の頼みに応じても良いものなのかを判断するためには、「人身事故」と「物損事故」でどのような取り扱いの差があるのかを理解している必要があります。

交通事故を警察に届け出することの意味や人身事故と物損事故の違いについて解説していきます。

警察への届け出の意味

交通事故を警察に届け出すると、それぞれの当事者の事情聴取と実況見分が行われます。そして、その手続を終えると交通事故証明書の発行を受けられるようになります

交通事故証明書は、自賠責保険や任意保険など保険金請求の場面で必要になる重要な書類です。当然のことながら、交通事故としての届け出がされてなければ、保険金の支払いも受けられなくなってしまいます

交通事故を警察に届け出することなく当事者同士で勝手に示談をしてしまったというケースもありますが、これは届出義務という法律上の義務に違反する行為であり、後にトラブルとなっても解決するのも難しくなるでしょう。

また、相手方が事故現場から逃走してしまったというような場合でも、警察への届け出は必ず行うようにしましょう。

届け出をしないと、ひき逃げなどでの捜査をしてもらえないのはもちろんのこと、保険請求の手続もできなくなるので注意が必要です。

「人身事故」と「物損事故」の違い

人身事故と物損事故の違いとしては、まず、加害者が刑事罰を受ける可能性があるのか、免許の違反点数が加算されるのかという違いがあります。

被害者の方の中には、加害者が処罰されたり、違反点数が加算されたりということについては、関心のない方もいらっしゃるでしょう。

しかし、人身事故を物損事故の扱いとすることで被害者自身も不利益を受けることがあります

人身事故の場合には、自賠責保険や任意保険から治療費や慰謝料の支払いを受けることができます。
物損事故の扱いであっても、これらの支払いに対応してくれる場合もありますが、人身事故扱いの場合と比べて不十分なものとなる可能性が高いでしょう。

また、事故状況に争いが生じた際に、物損事故扱いでは、警察から実況見分調書を取り寄せることができなくなります。
実況見分調書がなければ事故状況の証明は難しく、加害者に有利な結果となってしまう可能性もあります。

そのため、加害者から物損事故にして欲しいなどの要望があっても、受け入れることはおすすめできません。

弁護士の探し方

今回は、他業種にはなりますが、弁護士の探し方について、ご紹介しようと思います。

私の経験に基づくものになりますので、その点はご容赦いただければと思います。

ネットで探す

まず考えられるのは、ネットで探すということです。

ネットで探すメリットは、今や多くの法律事務所がホームページを持っていますから、法律事務所ごとの比較ができることです。

弁護士と依頼者さんのお付き合いも人と人とのお付き合いだと思いますから、自分に合いそうな弁護士さんを探すことができるという点も、ネットで探すメリットです。

友人・知人から紹介してもらう

次に考えられるのは、友人・知人からの紹介です。

ネットから探す場合、弁護士との信頼関係は1から構築することになります。

これに対して、友人・知人からの紹介の場合は、友人・知人と弁護士との間に一定の信頼関係があることが通常ですので、その分、最初からある程度、信頼をもって弁護士に相談・依頼できることが期待できます。

もっとも、友人・知人が知っている弁護士が、何の専門であるかは分かりません。

たとえば、友人・知人から、過去に会社紛争でお世話になった弁護士を紹介してもらうという場合には、期待に沿えない結果となることもあります。

もし差し支えなければ、紹介してもらえる弁護士が、どういう分野をよく取り扱っているかなど、紹介してもらう前に聞いてみても良いかもしれません。

保険会社から紹介してもらう

交通事故で、こちら側にも保険会社が付いている場合、保険会社から弁護士を紹介してもらうこともできます。

大抵の保険会社は、相談しやすい弁護士事務所を幾つか知っていることが通常です。

また、保険会社から相談を受ける弁護士事務所は交通事故を多数取り扱っていることが通常です。

したがって、交通事故事件に関しては、保険会社を通じて弁護士の紹介を受ける、というのも有益です。

法律相談センター・役所での相談

弁護士は、全国各地の、どこかの弁護士会に所属しています。

たとえば、大阪の弁護士であれば、通常、大阪弁護士会に所属しています。

そして、各弁護士会は、法律相談センターを設けて、広く市民の方からの法律相談を受けています。

地域によっては、交通事故に特化した法律相談の日を設けていることもあり、その法律相談には、交通事故に関して一定の経験がある弁護士が参加していることが期待できます。

また、各地の市役所・区役所でも、弁護士が法律相談を行っていることがあるので、市役所・区役所の窓口に行って尋ねてみるのも1つです。

まとめ

いかがだったでしょうか。

以上のように、弁護士の探し方は色々ありますが、最終的には、自分自身にあった弁護士さんに依頼されるのが一番と思います。

弁護士さんをどうやって探したら良いのか迷っている方にとって、今回の記事が助けになれば幸いです。

以上

交通事故の初期対応~被害者、同乗者がやるべき4つのこと

交通事故に遭うことは人の人生にとって一度あるかないかの出来事でしょう。したがって、交通事故が発生すると加害者もちろん被害者も「どうしていいのか分からない」という方が大半だと思われます。そこで、この記事では、交通事故に遭った場合に被害者として何をすべきなのか、という点について詳しく解説していきたいと思います。

1.交通事故の初期対応の流れ

交通事故の初期対応の流れは以下のとおりです。

なお、交通事故状況、怪我の状況によっては怪我の治療を最優先とすべき場合もあります。以下はあくまで対応可能な被害者あるいはその同乗者が取るべき対応とお考えください。

①運転の停止・負傷者の救護措置、警察への事故報告・届出

②加害者、加害車両等の確認

③事故状況の調査・証拠保全

④保険会社への事故報告

2.運転の停止・負傷者の救護措置、警察への事故報告・届出(①)

⑴ 運転の停止、負傷者の救護措置

交通事故に遭ったかなと思ったら車の運転者は直ちに車の運転を停止しなければなりません。そもそも交通事故直後はどちらが加害者なのか被害者なのか判然としない場合もあります。また、被害者であることが明らかな場合でも、事故状況によっては加害者の方が怪我の程度が大きく救護が必要という場合も稀にあります。道路交通法ではこうした場合も想定して、車の運転者(加害者、被害者問わず)に停止義務を課しているのです。

さらに、停止義務はその後の救護を可能とするためのものです。道路交通法は加害者、被害者及びそれぞれの同乗者に負傷者を救護する義務を課しています。この義務を怠ると罰則(最大10年以下の懲役または100万円以下の罰金(運転者の場合))や免許取消しの行政処分を科される場合があります。なお、具体的な救護措置としては

・救急車の要請(119番通報)

・病院への搬送

などが考えられます。要はそのときの交通事故状況に応じた最善の方法を尽くすことが大切です。

⑵ 警察への事故報告・届出

また、警察への事故報告も加害者、被害者の義務です。通常、加害者がすべきものと思われがちですが、責任逃れから警察への報告を渋る加害者もいます。その場合は被害者が警察へ報告すべき義務があります。この義務を怠ると罰則(3月以下の懲役または5万円以下の罰金)を科される場合もあります。また、警察へ届出しないと「交通事故証明書」の発行を請求することができません。交通事故証明書は

・加害者の保険会社に賠償金を請求する場合

・ご自身の保険会社に保険金を請求する場合

・加害者の自賠責保険会社に被害者請求(※)する場合

・労災保険金の支払いを請求する場合

などに必要とされます。

警察に届出をしないとこうした請求をすることができません。

※被害者請求※

被害者請求とは、被害者が、加害者が加入している自賠責保険会社に対して保険金の支払いを求める請求です。なお、次の場合では被害者請求する必要性が高いといえます。

・仮渡金請求したい場合

→被害者請求には仮渡金請求と本請求の2つがあります。仮渡金は被害者の当面の治療費、生活費を工面する一時金です。交通事故の状況等をめぐって加害者側と争っており、治療費を支払ってくれない、交渉が長期化しそうなどという場合は仮渡金請求する必要性が高いでしょう。

・加害者が任意保険に加入していない場合

→加害者が無資力(だからこそ任意保険に加入していない)で被害者に賠償できない可能性があるためです。

3.加害者、加害車両等の確認(②)

交通事故によって負傷したり、物を壊された場合は、被害者は加害者に対して損害賠償することになります。そのためには、加害者が誰なのかわからなければなりません。そのため加害者(運転者)の「氏名」、「住所」、「会社名」などを運転免許証等で確認しておきましょう。また、前記の被害者請求などのため、加害者の自賠責保険会社、任意保険会社も把握しましょう。自賠責保険会社は車の運転時に備え付けておかなければならない自動車検査証、自動車損害賠償責任保険証明書で確認することができます。

4.事故状況の調査・証拠保全(③)

可能であればスマートフォン等で車の損壊状況、衝突位置等を撮影しておきます。また、必要があって車を移動させなければならないとき以外は、警察官の実況見分が終わるまで車は移動させないほうがよいです。交通事故現場の状況は交通事故直後の状況を残しておくのがベターです。

5.保険会社への事故報告(④)

交通事故の報告は警察のみならずご自身が加入されている任意保険会社に対しても行います。保険に搭乗者傷害特約、人身傷害補償特約、無保険車傷害特約、弁護士費用特約を付けている場合はこれらの特約を使える可能性があるからです。ご自身ではなくご家族が交通事故に遭った場合にも連絡する必要があります。同様に上記の特約を使える場合があります。

                                                                                          以上