「交通事故の責任」カテゴリーアーカイブ

死亡事故を起こしてしまった友人の話

十年以上前の冬、仲の良い友達が交通事故を起こしてしまい、残念なことに被害者が亡くなられました。被害者のご家族はもちろんですが、加害者となってしまった友人にも立ち直るための時間が必要で、今もまだ自動車の運転ができない状態です。

この記事を書いていいか迷ったのですが、交通事故の加害者がどれだけ重いものを負うのか知っていただきたいと思い、また加害者側は責任をしっかり負うとともに、助けが必要であることも知ってほしく、この記事を書くことにしました。

私はその友人が加害者の方への謝罪を精一杯行っていたことを知っており、今でも大切な友人であることには変わりないので、個人情報には十分配慮したうえで、書いていきます。

 

すぐ警察と救急車を呼んだのに

当時住んでいたのは、さほど大きくない地方都市でした。共通の友人から「〇〇が事故を起こしたって」という話を聞いた時には、まずは車の損害と本人のケガを心配しました。

しかし「すぐ警察と救急車を呼んだんだけど、相手の人がなくなったって」という話を聞きました。もちろん友人本人もケガをしており、病院受診後に一度自宅に帰ることが出来たのですが、食事もとれないくらいのショック状態でした。

警察での勾留

一度は家に戻ることが出来ましたが、その後、自宅に警察官が来て連れていかれ、警察署で勾留されたそうです。

いくぶん落ち着いた後に聞いた話ですが「死亡事故を起こしてしまった人は、自殺をしてしまうこともあるから、自殺防止のためにも警察に泊まってもらう」と説明されたそうです。

担当してくれた人はけっこう優しくて、「けがは痛まないか?」と聞いてくれたり、「くさい飯って言われることもあるけどそれは昔の話で、昔ほどまずくもくさくもない。体のためにも食事はちゃんとたべるように」と言われたことを話してくれました。

「ひどいことはされず、こんなことをした自分に優しくしてくれて、心が痛んだ」と言っていたのが、印象に残りました。

辛かったのは周りの対応

さて、警察の対応は思っていたよりひどくなく、少しほっとしたのですが、「ショックだったのは、△△から『お前のやったことは人殺しだ』と言われたこと。△△はこの事故と関係ないのに」

△△とは、共通の知人です。「死亡事故を起こしたのでは、言われても仕方がない」という意見もあるのかもしれませんが、死亡事故を起こした加害者がすべきことは、今後の償いです。悪口を言ってさらに痛めつけることは賛成できません。

ひどいことを言われながらも、償いの日々は続きます。この話は、機会があればまたお話ししたいと思います。

交通事故で歩行者の責任が問われるのはどんな時か

「歩行者が飛び出してきても、車のほうが悪い」
「交通事故は歩行者が悪くても、車も責任を取らされる」
こんな話を聞いたことがある方も多いと思います。

歩行者と自動車や自転車などの交通事故が起きた場合には、自動車や自転車のドライバーは、歩行者に比べてより大きな責任に問われます。

しかし、「交通弱者」と呼ばれる歩行者ではありますが、どんなときにも歩行者側に非がないとは言えません。歩行者側の責任が問われることもあるのです。歩行者が責任を問われるのはどんな時なのでしょうか。

交通ルールを無視すれば、歩行者も責任を問われる

自動車のドライバーは当然に交通ルールを守らなくてはいけませんが、それは歩行者にも言えることです。

急に飛び出したり、信号無視をすれば、当然に歩行者側にも責任があります。現在の日本の法律では、歩行者側が100%悪いということはなく、どうしても自動車側の責任が重くなるものの、「過失割合」が適用されます。交通事故において、誰がどのくらいの責任を負うのか示した割合のことを「過失割合」と呼んでいますが、信号無視など歩行者側に責任がある場合には、歩行者側の過失割合が大きくなります。

自動車と歩行者の事故が起きるのは、信号無視や飛び出しなどが多いイメージですが、時には酔っぱらった歩行者が道路で寝てしまい、自動車にひかれてしまう事故も起きています。特に真っ暗な夜中であれば、道路で寝ている人に気づくのは難しいはずです。

小さい頃住んでいた場所では、お祭りの後に路上で寝ているおじさんたちをよく見たものでした。路上で寝ているのも困りますが、まっすぐ歩けずに歩道の方によろけてくる人もおり、何が起きるかわからないので、お祭りの日は特定の道を通らなくしていたことを覚えています。
このように自動車のドライバーが気の毒になるような事故も、時々起きている現状も無視できません。

「交通弱者」であっても、交通ルールは今一度確認を

自分も気をつけなくてはと思うのですが、車や自転車などの乗り物に乗っている時には「事故を起こしてはいけない」と緊張し気持ちが張り詰めることが多いように感じます。しかし自分が歩いている時には、そこまで感じません。

つまり乗り物を運転している時よりも、交通ルールについて意識していないのです。これでは困りますね。どんな立場であっても、交通リールを正しく学び、見直し、守る必要があるのは言うまでもありません。自分自身もこれまで以上に気をつけて生活したいと思います。

未成年者が交通事故に遭った際の注意点

交通事故の被害に遭うのは、大人だけではありません。学校や習い事の帰りなどは、子どもたちが巻き込まれてしまう可能性もあります。

大人であっても交通事故に遭うのはショックな出来事であり、ふさわしい対応ができるとは限りません。子どもであればなおさらであり、それなりのサポートも必要になります。

必ず病院へ連れていく

本来あってはいけないことですが、小さな接触事故などの場合、ドライバーの中には「大丈夫?」と一応聞いて、被害者の子どもが「大丈夫」と答えると、警察や救急車を呼ばないでそのまま行ってしまうこともあります。

事故直後は痛みを感じていない場合でも、後から痛みが出てくる場合がありますので、子ども本人が大丈夫だと言っても、必ず病院に行って検査を受けさせるようにしましょう。

未成年者は一人で損害賠償請求ができない

交通時の被害者が子どもの場合、もう一つ気をつけなければいけないことがあります。それは未成年者は損害賠償請求が一人ではできないということです。

通常は親御さんが子どもに代わって請求を行いますが、万が一親御さんが亡くなられている場合などは、裁判所が「未成年後見人」を選任することになります。子どもだからといって、泣き寝入りする必要はありません。

こういったケースは弁護士に依頼することも多いのですが、「弁護士の知り合いはいない」「どこに相談すればよいかわからない」ということも珍しくありません。本当に必要な場合には、弁護士探しを手伝うことも、サポートの一つになるかもしれません。

もちろん、その子どもと面識があるなら、親御さんの了解を得たうえでお見舞いに行ったり、必要なものを差し入れたりすることもできるでしょう。

保険会社の言いなりにならない

これは大人の場合にも共通する内容ですが、示談交渉の時には保険会社の言いなりになってはいけません。ここで書いている保険会社とは、主に加害者の加入している保険会社のことを指しています。

加害者側の保険会社なので、子どものケアについてはさほど考えていません。むしろ早く治療を終わらせてほしいし、できるだけお金を払いたくないのです。

「子どもは体が柔らかいから軽傷で済む」「子どものうちはむち打ちにならない」などと言われるかもしれませんが、それをうのみにすることはやめましょう。

交通事故の慰謝料に関して、子どもと大人に差はありません。適切な金額を請求し確実に支払われるためにも、弁護士に相談することをお勧めします。

ハンドル操作を間違えた高齢者が起こした事故の末路

最近はテレビで高齢者の事故について聞くことが増えたように感じています。うちの近所も例外ではなく、ついに高齢者の事故が起きてしまいました。

ハンドル操作を間違えて、カーブを曲がり切れなかったらしく、よそのお宅のブロック塀に突っ込んでしまったのです。帰宅するのに事故現場を通ったのですが、ブロック塀には大きな穴が開いていました。

事故を起こした本人は、おそらくそれなりのケガをしていると思いますが、ぶつけられた家の人もたまったものではありません。

緩いカーブを曲がり損ねたのはなぜ?

帰宅後に聞いた話なのですが、緩いカーブを曲がり損ねたらしいのです。昔からこの地域に住んでいた人なのでいつも通っている道です。

どうしてだろうかと不思議に思ったのですが、通り慣れた道ではあっても、今日はいつもと事情が違っていたのです。道路の真ん中にどこからか飛んできた段ボールが落ちていたらしく、その段ボールをよけようとしたらしいのですが、そこでハンドル操作を間違え、ブロック塀に突っ込んでしまいました。

高齢者に限らず、通り慣れた道路であっても、いつもと様子が違うということは珍しくありません。でも、ブレーキをかけなかったのでしょうか?

ブレーキとアクセルを間違えた!

ブレーキは本人は踏んだ「つもり」らしいのですが、実際にはアクセルを踏んでいたのです。アクセル全開でブロック塀に突っ込んでしまったのですから、ブロック塀には大きな穴が開いてしまいました。

間違えて踏まなければ、こんなことにはならなかったはず。嫌な話ですが、ブロック塀のの修繕費用はどのくらいかかるのでしょうか。保険が出るのかもしれませんが、間違えずにブレークを踏んでいれば、もっと小さな事故で済んだかもしれません。

車は廃車、本人はしばらく入院!

普段と違う道路事情、そしてブレーキとアクセルを間違えたせいでこんな事故になってしまいましたが、これだけでは終わりませんでした。

もちろん車は廃車になりましたが、本人も大けがです。しばらく入院するそうですが、肋骨3本と左足の骨を折ってしまい、頭もぶつけているそう。

退院してから、以前の生活に戻れるのでしょうか。ブロック塀を破壊した相手への謝罪はどうするのでしょうか。

事故を起こした本人、そしてブロック塀のある家の持ち主、どちらもご近所です。きっと今後の人間関係にも響くでしょう。自分のことではなく人の事故ですが、色々と考えさせられる出来事でした。

交通違反の争い方

交通事故を起こしてしまった場合、違反点数が課せられるほか、違反の内容によっては、行政罰や刑事罰を受ける可能性があります。

しかし、違反の事実がないのに、違反点数や、行政罰・刑事罰を受けることは納得できませんよね。

今回は、交通違反の争い方について説明致します。

違反点数の争い方

違反点数の争い方について見ていきます。

警察署に上申書を提出する

法律上、違反点数だけを争う手段はありません。

もっとも、ドライブレコーダーなどで違反の事実がないことが明らかである場合、取り締まりを行った警察署庁宛に、たとえば上申書という形で、違反がないことを伝えることができます。

これにより、任意に違反点数が取り消される可能性があります。

免許更新の際に争う

違反点数が付いた場合、次回の免許更新の際、いわゆるゴールド免許の取得ができません。

そこで、ゴールド免許を取得できなかった後に、ゴールド免許の取得を求めて、都道府県公安員会に対する審査請求又は裁判所に対する取消訴訟をすることができるとされています。

審査請求や取消訴訟の中で、違反の事実がなかったことを争うことができるのです。

免許停止・免許取り消しの争い方

免許停止・免許取り消しの争い方について見ていきます。

意見の聴取の機会に争う

90日以上の免許停止・免許取り消しの処分を行う場合には、意見の聴取といって、処分について意見を述べる機会が与えられます。

そこで、意見の聴取の機会に、違反の事実がないことを意見として述べ、免許停止・免許取り消しを争うことができます。

この意見聴取は、通常5分~10分程度の簡単なものですから、事前に、違反の事実がないことを分かりやすくまとめた書面を準備しておくことが大事です。

また、30日・60日の免許停止の場合には、意見の聴取がありませんが、処分を受ける前に、都道府県警の運転免許課に上申書を提出することにより、事実上、意見を述べることができます。

不服審査請求で争う

運転免許の停止・免許の取り消し処分に不服がある場合、都道府県公安委員会に対する不服審査請求ができるとされています。

この不服審査請求の中で、運転免許の停止・免許の取り消し処分を争うことができます。

裁判で争う

以上のように、免許停止・免許取り消しの処分に対しては、不服審査請求があります。

しかし、不服審査請求で判断が覆る例はほとんどありません。

これは、同じ行政処分庁(都道府県公安委員会)が判断するということも影響しているかもしれません。

そこで、免許停止・免許取り消し処分の取消訴訟という形で、裁判で争うことができます。

裁判では、裁判所という第三者が判断するため、公平性が期待することができます。

他方、不服審査請求の場合、結論が出るまでに数か月であるのに対し、裁判の場合には、判決が出るまで半年~1年以上の時間がかかる点には注意が必要です。

まとめ

いかがだったでしょうか。

交通違反に色々な争い方があることが分かっていただけたのではないでしょうか。

もっとも、効果的に争うためには、必要な証拠を集め、分かりやすい書面にするなど、準備が大変です。

ですので、納得いかない!と思われた場合、まずは、専門家にご相談されることをオススメ致します。

以上

交通事故で付けられる違反点数

交通違反は、発覚すると違反点数が付けられる仕組みで、その違反点数の数によって受ける罰の種類も異なります。今回は、交通事故を起こした場合の点数はどうなっているのか、詳しく解説します。

物損事故の場合

車に追突する・ガードレールに激突するなどの事故を起こしながら、被害者に該当吸える人物がケガ・死亡をしていない事故の名称が、物損事故です。

物損事故の場合、被害者は出ていないので、行政・刑事処分には当てはまりません。つまり、行政・刑事的な視点でみた場合、免停、懲役、罰金などの扱いにはならないのです。

交通違反における違反点数は、行政処分として判断されたものに付けられるので、物損事故における違反点数は対象外となります。

ただし、行政・刑事責任は問われなくても、民事責任としてみた場合、損害賠償の責任は生じるので、示談金などの支払いをしなくてはいけません。

人身事故の場合

人身事故は被害者が存在するので、民事だけでなく行政の責任が生じて、事故の規模によっては刑事責任も問われます。

そして、人身事故は行政に該当するので違反点数が加算されることになり、事故の状況によって違反点数は変化する仕組みです。

基礎点数と付加点数

人身事故を起こした場合、基礎点数付加点数という2種類の違反点数が加算されます。

基礎点数は交通違反を起こした場合、必ず加算されるもので一律2点という決まりです。

その基礎点数にプラスされるのが付加点数です。この点数は事故を受けた被害者の状態によって区分されます。

・死亡事故の場合
20点(被害者側に過失がある場合は13点)

・全治3ヶ月以上で後遺障害ありの場合
13点(被害者側に過失がある場合は9点)

・全治30日以上3ヶ月未満の場合
9点 (被害者側に過失がある場合は6点)

・軽傷で全治15日以上30日未満の場合
6点 (被害者側に過失がある場合は4点)

・軽傷で全治15日未満および建造物破損の場合
3点 (被害者側に過失がある場合は2点)

被害者側に過失割合がまったくなく、加害者側の一方的な責任の場合、そして、被害者が負った損傷が重いほど違反点数も多くなる仕組みです。

点数によって決まる運転免許の処分

違反点数の加算、過去の交通違反の記録によって、所持している運転免許に対する処分が決まります。

点数と処分の関係は、以下の通りです。

・1点(免停、免許取り消しはなし)
・2点(違反歴によって免停なしか免停90〜150日
・3点(違反歴によって免停なしか免停120〜180日
・4点(違反歴によって免停・免許取消なしか免停60〜150日・取消1〜3年
・5点(違反歴によって免停・取消なしか免停60日・取消1〜3年
・6点(免停30〜90日・取消1〜3年
・7点 (免停30〜90日・取消1〜3年
・8点(免停30〜120日・取消1〜3年
・9点 (免停60〜120日・取消1〜3年
・10~11点(免停60日・取消1〜4年
・12~14点(免停90日・取消1〜4年
・15~19点(取消1〜4年
・20~24点(取消1〜5年

当て逃げ、飲酒運転をした場合

当て逃げをした場合、それも処分対象となります。違反点数は基礎・付加点数の合計で7点になり、免停約1ヶ月の処分です。

飲酒運転をした場合も交通違反に該当するので、違反点数が加算されます。

飲酒運転は2種類あり、酒酔い運転酒気帯び運転の2つです。酒酔い運転は、アルコール摂取によって正確な運転判断ができないと断定された状態で、違反点数35点の加算、3年の免許取消となります。

酒気帯び運転は、正常な状態であっても少しでもアルコール摂取をした場合です。この違反項目はアルコール摂取量によって違反点数が異なり、13〜25点が加算されて、免停や取消処分となります。

まとめ

いくら小さい交通違反であっても、それを積み重ねるとそれだけ違反点数も加算されて、最終的には免停や免許取消の処分が待っています。

点数を稼いで免許を取り上げられないように、安全運転を心がけましょう。

以上

 

無免許で交通事故を起こした場合の刑罰

自動車やバイクを運転するには免許を取得する必要がありますが、もし、違法である無免許運転をして、さらに交通事故を起こしてしまった場合、どのような刑罰があるのでしょうか。今回は無免許運転の交通事故の刑罰について解説します。

無免許運転の定義

無免許の交通事故について知る前に、そもそも無免許運転とはどのような定義なのか、知っておきましょう。無免許運転については道路交通法の第六十四条に詳しく記載されているので、それを以下よりわかりやすく説明します。

運転免許証を一度も取得したことがない

運転免許証は、教習所に通う・試験を受けるなどして自身の免許証を発行してもらうことが可能です。しかし、そのような一連の道程を歩まずに、一度も運転免許証を所持した経験のない人は、車やバイクを運転する資格はありません。その決まりを破って運転する人は違反となります。

運転資格がない乗り物に乗っている

運転免許証にはさまざまな種類があり、自分が乗車する自動車やバイクに合わせて、それを対象とした免許証を取得・所持する必要があります。

例えば大型トラックは大型免許を取得する必要があり、それ以外の普通免許やバイクの免許を持っていても運転はできません。そのため、大型免許を持っていないのに大型トラックを運転することは違法に該当します。

免停期間中

過去に交通違反などを起こして、違反点数の合計がある点数まで到達すると、免停処分が科せられて運転が禁止となります。免停期間は点数によって異なり、最小で30日、最大で180日です。この免停中の運転は無免許運転の一種なので、これが発覚すると免許取り消しとなります。

免許取り消しの欠格期間中

免許の取消しは過去に違反で付けられた点数によって、いくつかのタイプがあります。付けられた点数の数で免許再取得ができるまでの欠格期間が異なり、その期間の幅は短くて1年、最長で10年です。この欠格期間中に「過去に運転の経験がある、運転には自信がある」などの理由で運転しても、当然ながら無免許運転扱いです。

免許更新をしない

運転免許は数年に1回更新をする必要があり、更新をしなかった場合は運転資格の停止の扱いになります。特に違反行為をしていなくても、この時点で免許停止の状態なので無免許と同様です。ただし、失効日から半年以内に講習を受講して、視力や動体視力の適性試験を通過すれば、免許証の交付が可能です。

無免許運転で交通事故を起こした場合

無免許での交通事故は、罰金や保険などはどのようになっているのでしょうか。以下より具体的な説明をします。

罰金、違反点数

上記のような無免許運転に該当する状態で交通事故を起こすと、50万円以下の罰金および3年以下の懲役が科せられます。それに加えて違反点数が25点も付くので、数ある交通違反のなかでも重罪の扱いです。そして、交通事故の内容によってさらに点数が付加されて、刑事罰としての罪が重くなります。

保険は適用されるのか

無免許運転で交通事故が発生して、もし加害者が自賠責保険や任意保険に加入していた場合、対人・対物賠償保険は保険の対象内です。そのため、被害者が大きな損害を受けてもこれらの保険が補償してくれるので、被害者や被害者の所有物に関してはケアできます。

しかし、保険は被害者には適用されますが、加害者は対象外です。そのため、大きな損害が発生しても自身で処理しなくてはいけません。そして、無免許運転の車に同乗者がいた場合、運転者が無免許であると知っていた・知らなかったによって保険は対象内・対象外と変化する仕組みです。

知っていた場合は、搭乗者傷害保険人身傷害補償保険の保険金が支払われないケースもあり、仮に支給の対象内となった場合でも、減額する可能性もあります。また、同乗ではなく車を貸し出した場合でも、無免許だと知っていた場合は保険は適用されず、事故による車の修理代は一切支給されません。

まとめ

車の無免許はそれだけでも決して軽い罪ではありませんが、さらに交通事故を起こしてしまった場合、莫大な損害をこうむります。最悪の事態を引き起こさないように、絶対に無免許運転はやめましょう。

 

以上

飲酒運転について法律で定められていること

飲酒運転は、バレると違反になるだけでなく、一歩間違えると大事故に発展する危険性があるので、やってはいけない行為です。では、飲酒運転は具体的に法律ではどのような決まりになっているのでしょうか。今回は、飲酒運転に関する法律について解説しましょう。

飲酒運転の種類

ひと口に飲酒運転といっても、その種類は2種類あります。その2つの飲酒運転の特徴について、以下より説明します。

酒気を帯びた状態

アルコールを摂取していわゆるほろ酔いになった状態は酒気帯び運転と呼ばれています。酒気帯びの具体的な定義は以下の通りです。

・呼気中アルコール濃度=1lのうち0.15mg以上
・血中濃度=1mlのうち0.3mg以上

上記の状態になっていて運転をした場合、道路交通法に違反しているので罰則の扱いです。

呼気中アルコール濃度が1リットルのうち0.15mg以上0.25mg未満、0.25mg以上で罰則の内容は異なります。

いくらお酒に強い人で運転時の意識がはっきりしていたとしても、先述したアルコール量が発覚した場合、罰則扱いです。

酒酔いの状態

具体的な体内アルコール濃度の数字は関係なく、あきらかにアルコールに酔っている状態が確認できた場合、酒酔い運転とみなされて、罰則になります。この場合、酒に弱い人であれば少量の摂取であっても運転時の判断が鈍くなるので、酒酔い運転扱いです。

飲酒運転の行政処分・罰則

では、酒気帯び、酒酔いともに飲酒運転をすると、どのような罰則が待っているのでしょうか。罰則の具体的な内容を次より見てみましょう。

酒気帯び運転の場合

アルコール濃度が1lのうち0.15mg以上0.25mg未満の場合、減点される点数は13点になります。6点以上だと免許停止になるので90日間の免停の扱いです。

そして、アルコール濃度が1lのうち0.25mgを超えた場合、減点される点数は25点です。この点数は免停以上の罰則である免許取り消しに該当するので、免許を取り上げられます。

免許の再取得をするには取り消しから2年間の経過を待たなくてはいけません。以上のように酒気帯び運転をすると、意識がはっきりしていたとしても、免許停止や取り消しなどの行政処分が科せられるのです。

また、刑事罰則としてはアルコール濃度に関係なく懲役3年以下、あるいは50万円以下の罰金を支払う必要があります。初版であれば30万円ほどが相場です。

酒酔い運転の場合

酒酔い運転が発覚した場合の行政処分は、酒気帯び運転と同じく免許取り消しですが、その罪は酒気帯びより重いです。

アルコール摂取量に関係なく罰せられるその処分の内容は、減点される点数は35点で、この点数は免許取り消しの扱いである15点以上を軽く超えるので、一発で免許消失です。そして酒気帯び運転より厳しい3年間の免許所有禁止になります。

刑事罰則としては懲役5年以下、または罰金100万円以下の支払い義務が発生するので、決して安くはない金額を支払わなくてはいけません。

アルコール摂取していなくても罰せられる例

自分が飲酒運転をしていなくても罪になるパターンもあります。どのような例があるのか次より紹介します。

アルコール摂取した人に車を貸す

お酒を飲んだ人に車を貸した場合、貸した人は行政処分こそありませんが、罰則が科されます。いくらお酒を飲んだ人がシラフ当然であっても、お酒を飲んで運転した人だけでなく車を貸した人も飲酒運転と同様の罪に問われるのです。

運転した人の酒気帯び・酒酔いの状態によって、車を貸した人も運転した人と同様の懲役・罰金となります。

アルコールを与える、飲酒した人の車に同乗する

このあと車の運転をするのがわかっていながら車に乗る人にお酒をすすめた場合、または酔っている人の車に同乗した場合も同罪です。お酒をすすめた人も同乗した人も、飲酒運転が発覚したときの罰則を受けなければいけません

運転者が酒気帯び、酒酔いのときと同じ扱いなので、同様の懲役、罰金の罰則です。

まとめ

お酒の強さには自信がある人でも、少しのアルコール量で交通事故を起こしてしまった例は少なくありません。飲酒運転は重罪なので、運転があるときは決して飲まないように心がけましょう。

以上

「アルコールと運転の関係」でよくある間違い

「酒飲んでも、これを守れば運転してもOK!」という話はいくつかありますが、それはすべて間違いです。少量であってもアルコール摂取をして運転することは、やってはいけません。今回は、飲酒運転において出回っている間違いについて、いくつか紹介しましょう。

間違い1.「ノンアルコールビールの摂取」

お酒が飲めない人のため、あるいはお酒を飲んではいけない時間にアルコールが楽しめるものとして開発・販売されたのが、ノンアルコールビールです。ノンアルコールという名称のため、飲んでも飲酒運転にはならないと思っている人は多いでしょう。しかし、この名称にだまされてはいけません。

実はノンアルコールビルは、少量ながらもアルコールが含まれているのです。アルコール濃度は1%未満ですが、少量であってもアルコールが含まれている限り、それは立派なお酒です。いくらノンアルコールビールを飲んでシラフと同様の状態であっても、飲酒検問でアルコールが検知されたら、飲酒運転とみなされて罰則の対象になります。

そして、なかには本当にアルコール度数0のビールもありますが、ビール特有の匂いで飲酒運転の扱いになり、検問で面倒なことになりかねません。たとえノンアルコールでも運転する際は一滴も摂取しないほうが無難です。

間違い2.「ドライバーが飲酒運転をしてても同乗している自分は飲んでいない」

ドライバーが多少のアルコールを摂取してても、捕まるのはドライバーだから飲んでいない自分は罪に問われないと考えている人はいるかもしれません。しかし、この場合、いくら自分が一滴もお酒を飲んでいなくても、飲酒運転の同罪の扱いになります。

飲酒運転は法律でやってはいけない決まりになっているのに、それを知っていながら酔っている人に運転をさせるのは、間接的に飲酒運転をしていることと変わりありません。したがって、お酒を飲んでいなくても、飲酒運転の同様に懲役と罰金の罰則が科せられます。

罰則の内容はドライバーと同様に懲役3年〜5年、50万〜100万円の罰金です。ただし、ドライバーがほぼシラフの状態と変わらなくて、お酒を飲んでいることを知らなかった場合、罰則は回避されます。

また、同乗しなくても酔った人に車を貸す車に乗るとわかっていながらお酒を飲ませることも、飲酒運転と同罪の扱いです。

間違い3.「飲酒後に6時間、睡眠をとる」

アルコール摂取しても、6時間寝れば体内のアルコールは抜けてシラフになるという噂があり、それを実行している人もいますが、これは大きな間違いです。

体質は人それぞれですから、数時間経過すれば体内でのアルコール分解が進んで、すっきりする人もいるでしょう。しかし、必ず分解されるという保証はどこにもありません。6時間たっぷり寝て酔いが冷めたとしても体内のアルコールが完全に抜け切ったわけではないのです。

いくら意識がはっきりしていても検問でアルコールが検知されたら、それで飲酒運転扱いで行政処分、罰則に科せられます。検問時にシラフだと言い張っても、酒の匂いをプンプンさせては説得力がなく、厳しい処分が下されるでしょう。

また、飲酒をしても運転前に運動をして汗とともにアルコールを排出するという人もいますが、それもやってはいけません。この場合も、身体中からアルコールの匂いがするので、検問時に飲酒をしたとバレてしまいます。通常の生活で6時間眠ってアルコールを抜くのは効果があるでしょうが、運転前にそれを実行することは罪に問われるので、やってはいけません。

まとめ

飲酒運転は運転時の判断が鈍ってしまい、最悪大きな事故に発展する危険性があります。飲酒してもこの方法を実行すれば大丈夫という噂はいくつかありますが、飲酒後の運転は絶対にやってはいけない行為です。

ノンアルコールでもビールやお酒という名称のものは、運転前に手を出さないようにしましょう。また、いくらお酒に強いのが自慢であっても、飲酒後のドライブは避けることが無難です。

 

以上

交通事故における3つの責任

本日は、交通事故における3つの責任、すなわち刑事責任、行政責任、行政責任について解説します。

~刑事責任~

刑事責任とは、刑罰(懲役、罰金など)を科される責任のことです。

その刑罰は特定の「法律」で規定された「罪」ごとに規定されています。

交通事故で適用されることが多い「法律」は「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」です。そして、交通事故ではこの法律の中に規定されている「過失運転致傷罪(人を負傷させた場合)」あるいは「過失運転致死罪(人を死亡させた場合)」が適用されることが多いです(二つを併せて「過失運転致死傷罪」といいます)。過失運転致死傷罪は法律5条に規定されており、罰則は7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金とされています。

法律5条

自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。(以下、略)。

※自動車の運転上必要な注意を怠り=過失

すなわち、刑事責任では、刑事裁判で有罪とされるとこの罰則の範囲内で刑罰を科されることになるのです。

もっとも、これはあくまで刑事処分が「起訴」となった場合の話です。交通事故といってもすべての事故について起訴されているわけではなく、多くの交通事故の刑事処分は「不起訴」となることが多いです。不起訴となれば刑事裁判を受ける必要はなく、また上記の刑罰を受けることもありません。

「起訴」、「不起訴」の基準はあきらかではありませんが、通常、

①交通事故態様

②被害結果(被害者が死亡したか否か、負傷の場合、治療期間はどの程度かなど)

③被害者との示談の有無

④被害者、遺族の処罰感情

などを総合的に考慮して判断されているものと思われます。

たとえば、単なる前方不注視よりも赤色信号看過、横断歩道上での交通事故の方が悪質と判断され起訴される可能性は高くなります(①)。また、負傷よりも死亡の方が、負傷の場合でも被害者の怪我の程度が大きく、治療期間が長くなればなるほど起訴される可能性が高くなります(②)。また、示談不成立、被害者・遺族感情が強い場合は起訴される可能性が高くなります。これらの事情を単発的に考慮するのではなく、あくまで総合的に考慮して判断されます。もっとも、②について、治療期間が1週間を超えない場合は、他の考慮事情にかかわらず不起訴となる可能性は高くなります。

~民事責任~

民事責任とは損賠賠償責任のことです(民法709条)。損害賠償責任は、当事者に別段の意思表示がない場合は金銭賠償が原則です(民法417条、722条1項)。したがって、損害賠償責任とは、具体的には、相手方に生じた損害について金銭で賠償することをいいます。

民法709条

故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

民法417条

損害賠償は、別段の意思表示がないときは、金銭をもってその額を定める。

「損害」には財産的損害と精神的損害(慰謝料)があります。財産的損害には、治療費、入通院交通費などの積極損害と休業損害、後遺障害逸失利益、死亡による逸失利益の消極損害に分けられます。精神的損害には、傷害慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料があります。これらの損害費目に生じた損害につきお金で賠償するのが民事責任というわけです。

もっとも、被害者に発生した損害すべてについて加害者に負担させることは公平ではない場合もあります。そこで、その場合は過失相殺によって損害賠償額が減額されることがあります(民法722条2項)。過失相殺による減額の程度は「過失割合」という交通事故に対する責任の割合によって異なります。

なお、刑事責任のところでも「過失」という言葉が出てきました。しかし、刑事責任においては過失があったかなかったか、つまり「過失の有無」が問題となります。他方で、上記のとおり民事責任では「過失有無」ではなく「過失割合」が問題となります。刑事責任を追及する警察、検察は民事不介入ですから、この過失割合については判断しません。通常は、加害者の保険会社の担当者と被害者(あるいはその代理人(弁護士))との交渉、あるいは交渉でまとまらなかった場合は裁判で(裁判官の裁量により)決めます。

~行政責任(処分)~

行政責任は免許取消し、免許停止などのことです。

皆さんもご存じのとおり、交通違反、交通事故の態様によって違反点数(基礎点数・付加点数)が付けられ、過去の違反歴などが考慮され最終的な違反点数が決まります。

なお、交通事故の違反点数は以下の表のとおりです。

事故結果

 

事故態様

死亡 重傷事故 軽傷事故
3か月以上又は後遺障害 30日以上3か月未満 15日以上 15日未満
専ら違反者の不注意による交通事故 20点 13点 9点 6点 3点
その他 13点 9点 6点 4点 2点

違反歴がない(あるいはないとみなされる)場合、6点以上で免許停止(30日)処分を受けます。

なお、刑事責任と行政責任は全く別物であり、刑事責任で不起訴、無罪となったからといって違反点数、行政処分が科されないというわけではありません。

 

以上