交通事故の被害に遭った場合に気になることのひとつとして
慰謝料はいくらになるのか?
ということではないでしょか?
今回は交通事故の慰謝料を3つの基準を使った計算してみました。
1.交通事故における慰謝料
慰謝料とは交通事故によって人が受けた精神的苦痛の程度を金銭で評価したものをいいます。
交通事故における慰謝料には
・傷害(入通院)慰謝料
・後遺障害慰謝料
・死亡慰謝料
があります。
そして、傷害の(怪我した)場合の慰謝料が傷害(入通院)慰謝料と後遺障害慰謝料、死亡の場合の慰謝料が死亡慰謝料です。
なお、死亡の場合は死亡した被害者の父・母、配偶者及び子、または被害者との間にこれらの者と実質的に身分関係が存在し、被害者の死亡により甚大な精神的苦痛を受けると認められる者(被害者と内縁関係にあると認められる者など)は、被害者とは別の(固有の)慰謝料を加害者に請求できます。また、死亡した被害者の相続人(遺族)は被害者が本来加害者に請求できる死亡慰謝料(慰謝料請求権)を相続します。
以下では傷害(入通院)慰謝料、後遺障害慰謝料について具体的に計算していきたいと思います。
2.傷害(入通院)慰謝料の計算
傷害(入通院)慰謝料とは、交通事故による怪我によって負った精神的苦痛に対する賠償のことをいいます。ただ、精神的苦痛といっても人の内面にかかわることですから客観的に評価することは難しいです。そこで、傷害(入通院)慰謝料を算定するための基準が設けられています。それが自賠責基準、任意保険基準、弁護士(裁判所)基準の3つです。以下では、次のケースでそれぞれの基準によると慰謝料がいくらの計算となるのかみていきましょう。別のケースの金額をお知りになりたい方はこちら【https://vs-group.jp/lawyer/ko-tu-jiko/simulation】の計算機もお使いください。
【ケース】
脚の骨を骨折 交通事故直後から20日の入院 退院後3か月間通院(実通院日数は12日)
① 自賠責基準での慰謝料計算
自賠責基準では
傷害(入通院慰謝料)=4,200円(1日)×「対象日数」
で計算されます。
なお、「対象日数」は、
ア 治療期間(=入院期間+通院期間)
イ (入院期間+実通院期間)×2
のいずれか少ない日数の方を採用します。
以上を上記のケースにあてはめると、
ア 110日(=20日+30日×3)
イ 64日(=(20日+12日)×2)
となり「対象日数」は64日となります。したがって、
傷害(入通院)慰謝料=4,200円×64日=26万8,800円
となります。
② 任意保険基準での慰謝料計算
任意保険基準は各任意保険会社が独自に基準を定めており一般に公開されていません。しかし、かつては任意保険会社共通の基準があり、現在も多くの任意保険会社がその基準を踏襲しています。そこで、かつての基準をベースに今回の傷害(入通院)慰謝料を計算すると、
傷害(入通院)慰謝料≒53万円~71万円(目安)
となります。
③ 弁護士(裁判所)基準での慰謝料計算
弁護士(裁判所)基準は、日弁連交通事故センター東京支部が発行する「民事交通事故訴訟 損害賠償算定基準(通称、赤本)」に掲載され、ネットなどでも公開されています。弁護士が加害者の任意保険会社と交渉する際や訴訟の際にこの基準を用いることから弁護士(裁判所)基準と呼ばれています。弁護士(裁判所)基準で今回の傷害(入通院)慰謝料を計算すると
傷害(入通院)慰謝料≒73万円~105万円(目安)
となります。
3.後遺障害慰謝料の計算
後遺障害慰謝料とは、症状固定後(治療費の支払いが打ち切られた後)になお残存した後遺症により被る精神的苦痛に対する賠償です。後遺障害慰謝料にも上記の3つの基準があり、後遺障害等級によって慰謝料が異なります。以下では、後遺障害等級のうち最も症状の程度が軽い14等級の慰謝料を基準ごとにみていきましょう。
① 自賠責基準での慰謝料計算
自賠責基準での後遺障害等級14級の慰謝料は
32万円
です。
② 任意保険基準での慰謝料計算
任意保険基準での後遺障害等級14級の慰謝料は
40万円(目安)
です。
③ 弁護士(裁判所)基準での慰謝料計算
弁護士(裁判所)基準での後遺障害等級14級の慰謝料は
110万円(目安)
です。
4.まとめ
傷害(入通院)慰謝料も後遺障害慰謝料も弁護士(裁判所)基準を用いた方が慰謝料は高くなる可能性があります。少しでも多く慰謝料を獲得したいと考えている方は、弁護士に交渉等を依頼するかADRという機関を活用するとよいでしょう。
以上