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外国人が日本で交通事故を起こしたらどうなるのか

前回このブログでは、日本で暮らす外国人が交通事故に遭った場合どうなるかを説明しました。しかし外国人の方が加害者になってしまうこともありえます。今回は、万が一外国人が交通事故の加害者になった場合、どうなるのか書いていきます。

交通事故の時、どの法律が適用されるの?

日本で交通事故が起きた場合、加害者が日本人か外国人かに関係なく、原則として日本の法律が適用されます。そのため外国人が加害者であったとしても、日本の法律に基づいた損害賠償が行われます。

損害賠償をしてもらえるの?

日本人が加害者の場合でもありえることですが、加害者である外国人が「任意保険に加入していない」「支払い能力がない」ということがありえます。外国人との間で交通事故が起きた場合、任意保険に加入しているか、また外国人が運転していた車の所有者や勤務先の連絡先がなども、必ず確認しましょう。

さらに外国人の場合、別の問題もあります。日本語が十分に話すことができない場合、どんな損害が生じたか、損害賠償をどうするか、話し合いが難航する可能性が高くなります。

もし日本語でコミュニケーションが取れる場合であったとしても、本国に帰ってしまう可能性があえます。もし示談が済む前に帰国してしまったり、損害賠償の支払いをせずに帰国したような場合には、損害金の請求を行う権利はあるものの、実際に回収するのは難しくなります。

早めに弁護士に相談しよう

さて、もし外国人の運転する車にぶつけられてしまった場合、最初にするべきことは日本人同士の事故とさほど変わりません。

  • まず必ず警察を呼びましょう。
  • けが人がいれば救急車を呼びます。
  • 事故現場の写真を撮るなどして、事故の記録をしましょう。
  • 加害者の氏名、住所、連絡先を確認します。
  • 連絡先は本人の電話番号だけでなく、勤務先も確認すると効果的です。

さらにこういったトラブルは、早めに弁護士に相談してください。なぜなら面倒な示談交渉などは、弁護士が代わりにやってくれるので、余計なストレスを抱えずにすむからです。ご自身の加入している保険に弁護士特約が付いていれば、そちらを利用することもできるでしょう。

気をつけなければいけない点として、すぐに弁護士が見つかる保証はありません。各弁護士事務所にも都合がありますので、対応してもらえる弁護士事務所が見つかるまで、時間がかかる場合もあります。弁護士は早めに探すことをお勧めします。

外国人が日本で交通事故に遭ったらどうなるのか

コロナ禍が治まり、日本に来る外国人の数が増えてきました。就労、観光、どちらで日本に来る場合であっても、楽しく過ごしてほしいと思いますが、時には交通事故に巻き込まれるかもしれません。

今回は外国人が日本で交通事故に巻き込まれてしまった場合、どのように扱われるか書いていきたいと思います。

原則として日本の法律が適用される

外国人が日本で交通事故に遭った場合、日本の法律が適用されます。日本の民法に書かれている賠償規定や、自賠責法は外国人の被害者にも適用されます。加えて在留資格がどのようなものかも考慮される場合があります。

例えば、損害賠償の対象期間が日本への滞在見込期間を超えるような場合などが、これに該当します。なお損害賠償については、本国での生活水準も考慮される可能性があります。

損害賠償に含まれるもの

日本人の場合と同様に、外国人にもしかるべき損害賠償がされます。しかし外国人の場合、日本人にはない下記の費用も含まれます。

  • 本国で治療した治療費
  • 治療のための渡航費用
  • 死亡した場合、遺族の渡航費用

治療のため本国に帰国した場合、本国での治療にかかった治療費や渡航費用も、損害賠償の対象になります。

休業損害や逸失利益は在留資格による

日本人の配偶者、永住者など

日本人の配偶者、永住者の方は、日本にずっと滞在するものと想定されています。そのため日本で働いている場合、日本人とほぼ同じ基準が適用されます。

就労可能かつある程度長期の滞在が予定される場合

就労可能な在留資格があり、なおかつある程度長期滞在が見込まれる外国人の場合には、日本で働いた収入額を考慮して計算されます。

損害賠償の対象期間が在留期間を超える場合には、更新後の期間も含まれる場合があります。

短期滞在などの場合

短期滞在は、多くの場合就労そのものができません。

すぐに本国に戻ることが想定されているため、本国における収入額をもとに計算されます。

相続は本国の法律を適用

外国人が事故のせいで死亡した場合には、例外です。相続に関しては、日本の法律は適用されず、亡くなった方の本国の法律が適用されることになりますので、ご注意ください。

行政書士からのお願い

今回は外国人が日本で交通事故に遭った場合にどうなるか、説明しました。行政書士として仕事をしていると、交通事故業務だけでなく、外国人の方や雇用主からのご相談を受けることもあります。中には在留資格の更新をぎりぎりまでしない方もいらっしゃいます。

ご事情があると思いますが、万が一の交通事故の際には、それらがマイナスに働く場合がありますので、在留資格の更新や変更は、速やかに余裕をもって行ってください。

事故現場から逃げた追突犯人の末路

毎年この時期になると思いだすことがあります。親族が帰省の途中で追突事故に遭ってしまったのですが、なんと追突した加害者はそのまま現場から逃げてしまったのです。

ひき逃げ、当て逃げ、のニュースも耳にしますが、人間そうそう悪いことをして、平気でいられるわけがありません。

加害者は現場に戻った

結論から言うと、加害者は現場に戻ることとなりました。というのは、追突事故を起こした後は一度逃げ出したのですが、途中で貸駐車場のフェンスに激突してしまい、そのまま動けなくなってしまったのです。

ドラマなどでは「犯人は現場に戻る」なんて言われています。今回は状況は少し違うものの、フェンスに激突している車を見た人から110番通報がされました。そんなわけで警察がやってきたため、事情を話す羽目になってしまい、現場に戻らざるを得なくなってしまったのです。

後で知ったことですが、事故現場から親族も110番通報をしていたそうで、その時の車の特徴や、車のナンバーを一部覚えていたことも、加害者特定につながったそうです。

刑事裁判

加害者が戻ってきたのはともかくとして、警察はこの事故は悪質であると判断し、結果的に刑事裁判になってしまいました。被害に遭った親族としては、できるだけ早く終わらせたいと思っていたのですが、そうもいかなくなってしまいました。

警察からは、「警察署にもう一度来て、詳しい話を聞かせてください」と言われてしまうし、普段ご縁のなかった「検察庁」からも事情をもう少し聴きたいとかで、何度か電話が来たそうです。たかが追突事故でも、現場から逃げたことが悪質だと判断されてしまったのです。

なお加害者側の弁護士からは「先に少し慰謝料を払いたい」という申し出があったようですが、拒否したそうです。親族も弁護士に依頼していましたが、その弁護士によれば、加害者側からの申し出は「少しでも罪を軽くするための作戦」なのだそうです。

加害者が懲役

さてこの加害者は、結局刑務所に入ることになってしまいました。親族としては「刑務所に入れてほしかったわけではない」と言っていますが、懲役は裁判の判決で決まったことです。

最初に話を聞いた時には、追突で懲役になるなんて…と驚いたものです。同じような事故がすべて懲役になるわけではありませんが、現場から逃げてしまう行為は、悪質とみなされる可能性が高いということなのだと思います。

裁判が終わり、加害者も娑婆に出てからもう5年くらいが経ちますが、毎年この時期になると思いだす出来事です。

交通事故における行政書士のサポート

 

今回は交通事故において行政書士がサポートできる業務内容を段階別にわけてご紹介します。

~交通事故直後~

交通事故直後は速やかに病院を受診しましょう。

病院での受診が遅れれば遅れるほど、あとで症状が発生したとしても交通事故と症状との因果関係を疑われ、人身事故ではなく物損事故扱いともされかねません。

症状があるにもかかわらず物損事故扱いとなれば、加害者側に治療費などに関する損害についての賠償義務は発生しません。

ただ、病院を受診したとしても以下のケース別で取るべき対応は異なります。

=加害者の任意保険会社が一括対応する場合=

一括対応とは、要は、加害者の任意保険会社が病院の治療でかかった費用について直接病院に支払ってくれる、というものです。

一見すると大変便利なもののようにもみえますが、気を付けなればならないことは一括対応の際に同意書にサインを求められることです。

同意書で、保険会社が被害者の病院へ医療照会することなどに対する承諾を求められるのです。

ですから、同意書にサインするとあとで保険会社に治療状況、怪我の回復具合などを調査され、その調査結果をもとに治療費打ち切りを迫られる可能性があります。

保険会社の一括対応はあくまでサービスの一環です(一括対応の段階では加害者側に賠償義務は確定しておらず、保険会社が任意で支払っています)から、保険会社が治療費支払いを打ち切るといえばそれに従うしかありません。

そこで、当方としては以下の対応をお勧めしております。

★ご自身の健康保険を使う★

交通事故で健康保険を使うことはできるの?と勘違いされている方がたまにおられますが、結論から申し上げると使えます。

・加害者の保険会社が一括対応してくれない(・・・過失割合、交通事故でもめているケース)

・そもそも加害者が任意保険に加入していない

・同意書にサインしたくない、ためらっている

という方、また、

・加害者のみならず被害者にも一定の過失がある

という場合は健康保険を使った場合の方がのちのち有利になることがあります。

もっとも、健康保険を使うには必要書類を入手、作成し、ご自身がご加入されている健康保険組合などに提出する必要があります。

これを「第三者行為災害による健康保険給付申請」といいますが、行政書士はこの申請のための書類作成などのお手伝いをさせていただくことが可能です。

★加害者の自賠責保険へ被害者請求する★

健康保険を使ったものの、できる限り治療費の負担は抑えたいものです。

そんなときは、被害者請求という手段をとります。

被害者請求とは加害者の自賠責保険会社に被害者自らが直接賠償金の支払いを請求するものです。

被害者請求には「仮渡金請求」と「本請求」があります。

仮渡金は賠償金を前払いしてくれる制度です(ただし、支払われる額が決まっており、死亡の場合290万円、傷害の場合、そのていどに応じて40万円、20万円、5万円です)。

示談前に受け取ることが可能ですので、治療の負担を心配せず治療に専念できるというメリットがあります。

また、本請求はすべての損害費目の損害額が確定させ、トータルの賠償額が判明した段階で請求するものです。

もっとも、被害者請求するには様々な書類を入手、作成し、それを加害者の自賠責保険会社に提出する必要があります。

行政書士はこの被害者請求のための書類作成などのお手伝いをさせていただくことが可能です。

~治療継続中~

加害者の保険会社から治療費の支払いを受けている場合、保険会社から症状固定(治療を継続しても将来、症状の改善が見込めなくなった状態)の打診が入ります。

怪我の症状にもよりますが、はやい人で交通事故から約1か月で症状固定の打診が入ります。

症状固定の打診=保険会社の治療費支払いの打ち切り、ですから、症状固定とすると基本的にはそれ以降の治療費は支払ってくれません。

もっとも、症状固定の判断は保険会社ではなく医師がすべきものです。

日頃の受診時から医師にご自身の症状を正確に伝えておくことが大切です。

医師が症状固定と判断した場合(もっとも、症状固定は医学用語ではありませんから医師が症状固定という言葉を使うかどうかはわかりません)、基本的にはそれに従う必要があります。

しかし、医師は症状固定後の後遺障害等級認定(※)のため治療を行っているわけではありません。

したがって、医師の症状固定の判断が必ずしも適切な後遺障害等級の獲得につながるわけではありません。

そこで、行政書士はどうすれば適切な後遺障害等級認定を受けることができるかという視点から、ご相談を受けた時点で、予めどの後遺障害等級を受ける可能性があるのか予測し、受けておくべき治療・期間、等級認定のために証拠化しておくべきもの(MRI・レントゲン画像など)、日常生活で気を付けるべき点などをアドバイスします

必要によっては病院へ同行したり、医師に治療状況などを聴取して報告書にまとめたり、医師へ医療照会を行うなどします。

また、等級認定のためには必要書類を収集・作成し、それを自賠責保険へ提出する必要がありますから、そのためのサポートもさせていただきます

※後遺障害等級認定

後遺障害等級は自賠責保険会社によって認定された後遺障害のレベルのことで、申請によって認定されるとレベルに応じた後遺障害逸失利益、後遺障害慰謝料を獲得することができます。

 

以上