【交通事故と慰謝料(1)】治療費以外に請求できる入通院慰謝料とは

交通事故に遭って受傷してしまったような場合、加害者に対して示談金を支払ってもらえることをご存じの方は多いでしょう。
病院に入通院したような場合には治療費は加害者側に負担してもらえますが、その他の損害はどうなるでしょうか。

今回から複数回にわけて、入通院慰謝料について3つの算定基準とそれぞれの基準による計算方法とその相場について図表を用いて分かりやすく解説していきます。

また、慰謝料を含む損害賠償金をできるだけ増額する方法についても具体的に説明していますので、是非最後まで読んでください。

交通事故では治療費以外に入通院慰謝料も請求可能

まず、慰謝料とはどのようなお金のことを指すのでしょうか。
慰謝料とは財産権以外に対する損害賠償金のことを言い、精神的または肉体的な苦痛に対してそれを慰謝することを目的に支払われるお金のことを言います。

精神的または肉体的な苦痛に対する損害賠償金が慰謝料であると説明しましたが、どういう意味でしょうか。
交通事故が原因で怪我をして、入院や通院を余儀なくされる状態になり、身体的な自由が奪われることや検査や治療に時間を割かなければならないこと、身体の異常等々様々な苦痛に晒されることになります。

慰謝料とは、このような精神的または肉体的な苦痛を慰謝するために支払われる金銭であるということです。
慰謝料イコール示談金だと理解している方も多いようですが、その理解は少し不正確です。

交通事故に遭って受傷した場合には、それらの苦痛以外にも様々な損害が発生します。
交通事故の場合、まず、入院や通院によって病院に支払う治療費や、病院までの交通費が発生します。
入通院を余儀なくされることで、本来であれば働いて得られたはずであるのに、休まざるを得なくなったために得られなくなった収入については休業損害が発生します。

さらに、後遺障害が残った場合には、後遺障害のせいで労働能力が喪失または減少してしまいます。
そのために、将来得られるはずであった収入が得られなくなる分を補填する逸失利益などが生じます。

慰謝料はあくまで、交通事故が原因で受傷した怪我や治療による精神的または肉体的な苦痛に対して支払われる損害賠償金ですので、治療費等のその他の支出とは別に加害者や加害者側の保険会社に請求することができます。

以上から慰謝料は示談金の中の一部をさしますが、それ以外にも示談金として請求できる損害があるということになります。
こういった理由で、示談金イコール慰謝料という理解は不正確であるということになります。

入通院慰謝料は計算方法が決まっている

では、入通院慰謝料はどのように計算するのでしょうか。
治療費や交通費であれば、領収証やレシートがありますので実際に負担した実費がわかり、これを請求することができます。

他方で慰謝料はどのように算出するのでしょうか。
実は、入通院慰謝料はその相場が決まっています。
事実上、慰謝料を考える場合には、裁判所であっても定額化している傾向があります。

裁判をしない任意での示談交渉の段階でも、個々の判断はほとんど結論に影響を与えないまま相場通り計算されている実態もあります。
したがって、慰謝料相場を理解しておくことは示談交渉を有利に進めていくために必要な知識であると言えます。

まとめ

今回は治療費以外に請求できる入通院慰謝料について詳しくご紹介しました。

交通事故と慰謝料をテーマに複数回解説していきますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 

以上